選択山 本願寺
 法然も拝した?本尊さま・梵鐘にまつわる伝説も。
 今回は、法然上人の主著、『選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)』そのものの名をもつ古刹、本願寺を、山陰の城下町・鳥取に尋ねた。  開基は、かの秀吉とともにその家臣として天正9年(1581)に鳥取城を攻略、城主となった宮部善祥房継潤(けいじゅん)。
 「継潤は信仰深く、京都久美浜・本願寺の幻身(げんしん)和尚に帰依(きえ)していたんです。その幻身和尚を開山上人としてお招きしたんですね。ご本尊もそちらからのものです。久美浜の本願寺には法然上人も訪れましたので、このご本尊様を法然上人も拝まれた可能性があります」。住職が笑顔で話された。
 山門の上に納められている梵鐘は平安時代初期の作とされ、国の重要文化財にもなっており、いくつかの伝説が伝えられている。
 「運んでいた船が途中で転覆、鐘はこの地の海岸に流れ着いたそうで、そこを通りかかったひとりの浪士が、海中から現れた竜女に頼まれてここへ運んだというんです」。
 また、慶長7年(1602)から始まった鳥取城再築の折には、仕事の合図として打ち鳴らしているうちに、城下の梵鐘すべてにひびが入ってしまったというが、本願寺の梵鐘もやはりこの難に遇った。これらの説から「竜宮の鐘」「つかずの鐘」と呼ばれ、今ではその響きこそ聞けないものの、伝説にたがわずスマートで女性的な優美さを呈し、風格と威厳を感じさせる。
 境内に歩を進めると正面に本堂。気品のよさが漂っている。その左手の墓地には、明治時代の大盗賊・桜田作一郎の墓が。この盗賊、鳥取で暴れまわり、鼠小僧よろしく盗んだ金品は貧しい人々に分け与えていたという。
 「いつの頃からか、この墓にお参りすれば、一生に一度大きな願い事がかなう、という噂が立ちまして、参詣の人が後を絶たないんですよ」。
 閑静な城下町に、多くの伝説を秘めて信仰を集める本願寺には、今日も芳香が漂う。
 (浄土宗新聞 平成9年2月号より)
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選択山 念佛院 本願寺
住所: 〒680-0053 鳥取県鳥取市寺町27
TEL: 0857-22-4369 FAX: 0857-22-4368
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